2009年11月12日 (木)

アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~

 ようやく観てきました!カナダのヘヴィメタ・バンド、アンヴィルのドキュメンタリー映画です。

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  映画は1984年の日本から始まります。西武球場に集まった、熱狂的な大観衆の前で演奏する若きアンヴィル。「SUPER ROCK '84 in Japan」というイベントの一幕です。そこにメタリカやアンスラックス、メガデス、ガンズ&ローゼズといった超有名バンドのメンバーが、アンヴィルを褒め称えるコメント映像が入ってきます。へー、アンヴィルって凄いバンドなんだ。

 その84年のライヴでアンヴィルと共演したボン・ジョヴィやホワイト・スネイク、スコーピオンズの映像も流れた後、こんな字幕が出ます。

 

 「どのバンドも、何百万枚もレコードを売った。アンヴィル以外は……」

 

 アンヴィルは、全然ウケなかったのです。

 そして舞台は現在のカナダへ。ヴォーカリストのリップスは、給食配達の仕事をしながらアンヴィルを続けています。活動歴は30年を超え、オリジナル・メンバーはリップスと14歳の時からずっといっしょにやっているドラムスのロブ(職業:建築作業員)が残るだけ。(ちなみに、サポートのギタリストとベーシストは小さいころからのアンヴィルのファンで、「アンヴィルに入ってるなんて信じられないよ!」とか言っています)

 リップスは語ります。「アンヴィルでは収入を得られないけど、喜びを与えてくれる。だから俺は生きていけるのさ」と。数十人の客の前でライヴをやり続ける彼らに、待望のヨーロッパ・ツアーのチャンスが巡って来るのですが…… 

 以降の大まかなストーリーは予告編をご覧下さい(割とネタバレしてますが)。

 

 これは映画「レスラー」のバンド版というか、先日ご紹介したRHYMESTER“ONCE AGAIN”とほぼ完璧にシンクロしているというか。

 理想と現実のあまりにも大きなギャップの中、50代を迎えてもなおバンドを止めようとしないリップスとロブ。これがフィクションならいいのですが、残念ながらドキュメンタリーです。リップスとロブがマジで罵り合うシーンとか、ライヴで本当に客がいない(2000人規模の会場で客が5人)とか、レコード会社にけんもほろろの対応をされるとか、レコーディング費用を稼ぐためにメンバーがバイトするとか、飛行機を待つために空港で雑魚寝とか、笑いながらも泣けるようなシーンの連発です。

  30年バンドでストラグルしてきただけあって、劇中における彼らの言葉は切実で、重みがあります。真理を突いています。でも現実は無情なのです……ある出来事が起きるまでは。

 

 突っ込みどころもありますが、素晴らしい作品だと思います。「メタルは好きじゃないから」という理由で観ないのはもったいない。すべての音楽好き、映画好き、ドキュメンタリー好きにお薦めしたいです。

 あと、このおっさんたちを女の子3人に換えて、音楽をエレクトロ・ポップにすればPerfumeになると思います。多分……。

 

 そうそう、六本木ヒルズのTOHOシネマズで観ましたが、上映後に拍手が起こっていましたよ。「THIS IS IT」に続いて人生二度目の経験でした。

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2009年11月 5日 (木)

THIS IS IT

 

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 満員の新宿ピカデリーにて鑑賞。観ている間ずっと、悔しくて悔しくて仕方ありませんでした。僕はMJのことを全然知らなかったんだな、ということと、ポップ・ミュージックの歴史に刻まれるはずだったショウも、来たるべきニュー・アルバムも消失して、MJの音楽がちゃんと聴かれる大きな機会が失われてしまったことが、です。

 映画を観る前に「Live In Bucharest」なるライヴDVDをチェックしました。これは92年の『Dangerous』ツアーの映像です。それから17年が経っているわけですが、「THIS IS IT」でのMJの歌とダンスは、その頃と比べてさほど衰えていません。
 これはつまり、超一流のアスリートがオリンピックの決勝当日に最大のピークを合わせてくるのと同じなのでしょう。その努力(?)があのような事件を招いてしまったのかもしれませんが……

 いや、ダラダラ書いててはいけませんね。サクッと行きます。
 ここで観られるMJは、本当に世界最高のエンターテイナーです。それは彼の発言からも窺えます。
 「ファンのみんなが聴きたい曲をやる」
 「(バンドに向かって)音作りは、レコーディングのものをベースにする。お客さんのイメージに忠実にやるんだ」
 「お客さんが求めているのは、非日常を感じる素晴らしい体験なんだ」

 MJは自身の歌とダンスを研ぎ澄ませるだけでなく、ダンサーのオーディションも、ショウで使う映像の撮影も、舞台上の演出や仕掛け、はたまたキュー(合図)出しのタイミングまでを細かくディレクションしていきます。こういうのはスタッフがやってるものと思ったのですが、MJはハングリーに細部を詰めていきます。そこには業のようなものも感じましたが、結果、浮き上がってくるショウの全貌、つまりMJが追求していたものは、ライヴ・エンタテインメントのひとつの頂点だったのかもしれません。

 MJにはまだやることも、やりたいことも、やるべきことも、たくさんあったのだな。全然気付きませんでした。
 いまは偏向したイメージや断片的なキーワードが彼の人物像を定義付けていますが、音楽面での評価がいい加減なことだけは本当にまずいと思います(僕も最近までいい加減に捉えていましたが)。
 MJは、本当はどんな人だったのか?彼が音楽(を通してお客さん)に向き合う姿勢を通してそれを伝えるところに、この映画の矜持を感じました。

 余談ですが、この直前に見たPerfumeのライヴも思い出しました。ショウとして共通する点もいくつかありますが、“Kiss and Music”でいかにもMJっぽいダンスがあったなぁ。まあMJは踊りながらちゃんと歌っ(以下略)

 

 これは、劇場で観るべき作品です。そして、なるべく大きなスクリーンで、音響設備の良い劇場で、可能な限り前のほうで観てほしいです。

 最後に、劇中でダンサーが語る意気込み(うろ覚え)を引用します。
 「僕は自分の人生に意味を見つけたかった。信頼できるものが欲しかった。それがこれなんだ(THIS IS IT)!」

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2009年10月23日 (金)

カイジ

■カイジ 人生逆転ゲーム    ★
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 よくも、ここまでダメな映画にしてくれた……っ!(←カイジ風)

 映画では、原作の魅力だった緊迫感や重み、凄みがきれいさっぱりなくなっています。

 藤原竜也くん演じるきれいなカイジにも違和感はありますが、まあそれは映画の出来からすれば些事です(それも凄いことだが)。

 持たざる者として、無気力に、怠惰に、惰性で生きていたカイジが、生死を賭けたギリギリの戦いの中で「生きるとは何か」を突き詰めて、アイデンティティを取り戻すのが原作のおもしろいところだとすれば、そこではカイジの心の動きを丁寧に描かないとダメですよね。原作はそこが飛びぬけて素晴らしかったのですが、映画ではそういう積み重ねが希薄。原作にあったギャンブルをテンポよくこなすことに重点が置かれていて、心理描写はあんまり必要だと思ってないっぽい。単に、原作で登場した「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」「Eカード」をサクサクっとやるだけです。その合間にカイジが原作であったような熱いセリフを叫ぶのですが、そこへの繋ぎが下手すぎて「なんでいきなりそんなこと言い出すの?」となってしまいます。

 重みがないと言えば、カイジの敵である利根川。利根川役の香川照之さんは良い演技をなさっているのだけど、原作の利根川は老獪で狡猾で尊大で威圧的なキャラクター。香川さんのキャラはそれとは全然違って、中年の中間管理職的な悲哀が漂っています……。

 原作の利根川には象徴的なシーンがあります。それは、窮地に立たされていることに何ら実感や危機感を持たず、好き勝手な欲求を並べ立てるギャンブル参加者たちに対し、「FUCK YOU……ぶちのめすぞ、ゴミめら……!」と冷や水を浴びせるところ。ここで参加者(と読者)は現実に打ちのめされ、絶望と恐怖を覚えるのです。が、ここのセリフを香川さんがなぜか阿部サダヲばりのハイテンションでシャウト!!本気で噴き出しましたよ。どう考えても、押し殺した声で凄みを利かせる場面だと思いますが……。

 限定ジャンケンも実に浅い。原作にあった、ゾクゾクするような心理戦はまったく楽しめません。

 超高層ビルの間の鉄骨渡りも、原作では圧巻のシーン。なぜ読者が手に汗握ったかというと、自分がその場にいるかのような臨場感・リアリティがあったからですが、映画ではそのへんがもうペラッペラ。上空高くにいるんだから、ずっと風が吹いているとか、鉄骨が軋むとか、なんでもっとリアリティを出そうとしない?人が落下するCGもお粗末です。
 また、そのシーンでは「鉄骨に電流が流れている」設定ですが、途中から大雨が降ってくる。あれっ、これ渡っている人絶対感電するんじゃない?濡れた手でコンセントを触ってはいけないように。

 エキストラさんの演技とか、セリフの入れ方とか、SEや音楽の使い方とか、全体的に作りが雑すぎです。残念ながら客を(というか映画そのものを)ナメてます。劇中で利根川が、ギャンブル参加者たちに「貴様らのように、これまで何も積み重ねてこなかった連中が……」と言うシーンがありますが、この映画こそ何も積み重ねてないよ!だから観ても何も残らないんですよ。

 

 それでも、どれだけ期待を裏切られ続けても、僕は一縷の望みを捨ててはいませんでした。



 あの名シーン「焼き土下座」さえリアルに再現してくれれば!



 あの珍シーンだけでも、「ああ、これなら実写にした意味があるよねえ」と思える作りこみでしっかり見せてくれれば、これまでの拷問タイムと1200円という料金もすべて取り返せます!香川さんのいかがわしい演技(褒め言葉)もここでこそ生きるはず!!



 ええ、結果はお察し下さい。

 

 

 終盤の展開も何か唐突で説得力なし。あの人物がカイジを信じる理由がさっぱりわかりません。オチもこれがまた……。エンドロールではなぜかYUIの爽やかな歌が流れるけど、まったく合ってません。というか意味がわかりません。

 

 もういっそのこと内容を限定ジャンケンに絞るか、オリジナル・ストーリーにしてくれたほうがよっぽど観たかったです。

 

 数少ないおもしろかった点としては、オープニングで画面に大きく「 カ  イ  ジ 」と映し出された瞬間と、地下工事現場の班長(松尾スズキ)の薄気味悪い演技、それとスタッフロールで「出演者」として原作者・福本伸行先生がクレジットされていて「えっ、どこどこ?どこに出てた?」となった瞬間ですね。

 ということでファンの方はぜひ観に行ってください。その後の叩き代も考えればコスト・パフォーマンスはまあまあです!!

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2009年10月 1日 (木)

サマーバッドHACHI20世紀ジョー決断の果ての男と女のしんぼる

書いたつもりでしたが全然書いてなかったのでまとめて。一言感想も入れてみました。

■サマーウォーズ ★★★★
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おもしろい!さすが細田監督!大家族でご飯を食べるシーンが圧巻(そこかよ)

■愛のむきだし ★★★★

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約4時間の長編。いろんな要素を盛り込みすぎですが、一気に楽しませる手管が凄い!

HACHI ★★★

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ハァチィー!

20世紀少年<最終章>僕らの旗 ★

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「アマルフィ」「ROOKIES」に並ぶ、堂々たる地雷!

3時10分、決断の時 ★★★★★

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57年の西部劇「決断の3時10分」のリメイク。細部に至るまで丁寧な画面作りと、演技が素晴らしいです。

キャデラック・レコード ★★★
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「ドリームガールズ」みたいなドラマ性には欠けるので、それこそ舞台となるチェス・レコードに関する予備知識や関心がないと若干きついかも?後半はエグゼクティヴ・プロデューサーでもあるビヨンセのプロモーション・フィルム状態!

グッド・バッド・ウィアード ★★★★★
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韓国製マカロニ・ウェスタン(って?)の恐るべき傑作。ストーリーはアレですがアクションが鮮烈すぎて茫然。これだけは劇場で観ないと意味がありません!

G.I ジョー ★
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「グッド・バッド~」では狂犬のようにギラギラしていたイ・ビョンホンが、ここではただの変人(ホワイトニンジャ)。

ノーボーイズ・ノークライ ★★★★
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妻夫木聡とハ・ジョンウ(「チェイサー」のサイコ・キラー役)による友情というか絆のドラマ。これは良い!妻夫木君の歌唱シーンに「さすが元バスキング・ライト!」と思ったのは僕だけでいいです。

バーダー・マインホフ 理想の果てに ★★★★
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ドイツ赤軍を描いた大作。反体制の理念を掲げた武装集団が、思想の先鋭化と共に過激化していく。吹き荒れる暴力の嵐、その果てにあるものは……。若松監督の「実録・連合赤軍」にも通低するテーマであり、ここからスピルバーグの「ミュンヘン」にも繋がりますね。そのまま現代にも通じるテロリズムへの考察、そして「おっぱいがたくさん出てくる」という点でも秀逸な作品!

しんぼる ★★
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ところどころおもしろかった……という出来はともかく、松っちゃんは映画という舞台で戦っています!そういう意味で「20世紀少年」とかより遥かに志が高いです。

男と女の不都合な真実 ★★
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デキる女と下品な男のラブコメ。なんとなく観に行きましたが、これがまたしょうもない……まあ、それなりに楽しみましたが。

BALLAD 名もなき恋のうた ★★
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クライマックスの戦争シーンにがっかり。血の一滴すら出ない、いかにもな作り物(ターゲットが一般層ゆえ仕方ないのでしょう)。草なぎ君の身を案じて戦場へと駆けていく主人公を止める、「馬鹿!本物の戦争なんだぞ!殺し合いなんだぞ!」と言う父親のセリフは良かったのに……。でも新垣さんが可愛いから観に行って良かった!(結論)

ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式 ★★★★
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イギリスの葬式コメディ。ブラックでシニカルなジョークが最高に笑えます。

しかしよくもまぁこんなに観ていますね。暇……ということか。

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2009年8月11日 (火)

観ました

 ディア・ドクター ★★★★

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2回目) ★★★★

 ボルト ★★★★★

 セントアンナの奇跡 ★★★★

 

 しかし、普通に良い映画だけを観て、そのおもしろさを数値化したところで、ちっとも面白くないですね。やはりここは地雷映画の出番か……「ボルト」を観た以上、もうひとつの犬映画であるアレにしようかな。

 

 

 アレ↓

 気が進まないなあ……

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2009年8月 5日 (水)

MW -ムウ-

16年前、とある島で島民全員が虐殺された。その事実は政府によって闇に葬られたが、奇跡的に逃げ延びた2人の少年は、それぞれの宿命を背負って大人になる。 一人は頭脳明晰なエリート銀行員という仮面を被り、凶悪犯罪を重ねる悪魔、結城美智雄(玉木宏)。もう一人は敬虔な神父となった賀来裕太郎(山田孝之)。彼は結城の犯行を阻もうとしながらも毎回翻弄され、激しく苦悩する。そして結城はついに、16年前の事件のキーワードである「MW」にたどり着く。そしてこの「MW」を使い、全人類を道連れに世界を滅ぼそうとするのだった――。

 

 観てきました。(すみませんが、ファンの方はお戻りください)

 

 ◆冒頭、16年前の惨劇が描かれる。火炎放射器などを用いて、なかなかそれっぽい……のですが、「苦しみ抜いて死んだ」はずの死人が悪ふざけみたいな顔。まじめにやってください。しかも以降この顔が何度か出てきます。

 ◆舞台はバンコクだかタイへ(忘れました)。結城が誘拐殺人事件を起こします。それを追う(なぜかいる)日本の警部。警部はタクシーを、変装した結城はバイクを強奪して派手なカーチェイスを繰り広げます。が、なんかダラダラ長いので普通にダレます。そのまま結城は逃亡。

 ◆しかし結城はその事件の身代金を提供したエリート銀行マン。何食わぬ顔で警部の前に現れた結城をいきなり疑いはじめる警部。理由は「刑事のカン」です。左様ですか。

 ◆結城のシャワーシーンが突如入ってきますが、別に意味はありません。なかなかの婦女子向けサービス。っていうかお客さんは女の子ばかりだったな……。

 ◆そういえば誘拐のシーンで、被害者の父親がビルのエレベーターに乗る→降りると、父親と同じ服装の男たちがワラワラと出てきて、警察が大混乱するというシーンがあったのですが、あれは何ですか?

 ◆舞台は日本へ。悪夢にうなされる賀来(がらい)神父。ちなみに原作にあったような、結城と賀来の肉体関係は(直接的には)描かれません。でも、それがないと賀来神父の苦悩や罪深さ(クリスチャンなのに同性愛者)が突然薄っぺらくなるし、結城が怪物化するきっかけは16年前の賀来少年の行動でもあったわけで、そこを描かないと賀来神父の存在意義や、結城と賀来の結びつきの説得力がなくなります。っていうか、なくなってました!

 ◆原作で結城はしばしば中性的に描かれています(女装もする)。これは、原作第1巻の解説によれば「MWとは〈Man〉〈Woman〉の頭文字から取られている」ことに重なり、結城はそういった二極化した概念(男と女、善と悪)を超越した存在なのですが、ここも映画では踏み込まないので、結城が頭はいいけど人格が破綻した単なるイヤな奴にも見えてしまいます。時間がないのはわかりますが、冒頭のカーチェイスを削るとかして、もうちょっと伝えようがあったのでは。

 ◆MWの後遺症に苦しむ結城、というシーンがありますが、音や映像がベタすぎてつい笑いが。

 ◆結城を疑う警部が結城のマンションにあっさり侵入。結城はもちろんセキュリティを施しています。外出中の結城の携帯電話に監視カメラの映像(つまり部屋に侵入している警部)が映り、そこに赤い文字で「侵入者あり」と表示されているからです。ダサい!っていうかそもそも侵入されないようにしたほうがいいでしょ!

 ◆結城の部屋は他の誰かが借りていたものを乗っ取ったものでした。武器や現金、PCや薬品などが警察に押収されます。結城ピンチ!かと思いましたが、別に支障なく結城は行動。ちなみに、部屋には指紋がひとつもありませんでした。へー。

 ◆16年前の因縁の島にMWを探しに行く結城と賀来(と新聞記者)ですが、せっかく見つけたMWはケースだけ。新聞記者から奪った取材ノート(いまは亡き、優秀な記者がMWについて調べたもの)をパラパラ見る結城。そこに「サンプルあり 米軍東京基地」というような文面を発見。MWがそこにありそうなら、なぜ最初に行かない!?

 ◆途中賀来神父が沖合で船から転落。結城は救助をあきらめて帰るものの、翌日賀来は自力で浜に上がります。そのまま近くの公衆電話ボックスに入り、小銭をチャリンチャリンと入れて誰かと通話。すげえ。

 ◆米軍基地へ侵入する結城。いちおう原作どおりなんですが、時間がなかったのか将校を人質に取るといった細部を全部すっ飛ばしてます。原作未見の人全員置いてけぼり。それくらいなら冒頭のカーチェイスを削って(以下略)

 ◆結城の乗った飛行機が爆発!でも結城は無事です。なぜ助かったのか?それは残念ながら描かれていません。

 ◆俳優さんはいい演技を見せてくれたと思いますが……残念です。

 ◆そもそもこの映画「アクション超大作!」みたいな切り口がもう失敗じゃないですか?原作にはそれほどアクションシーンはないし。もっと会話劇にして、人物描写にシフトすればおもしろ……や、たぶんムリですね。

 ◆最後に「この作品はフィクションです。法律に反する行為は行わないでください」と警告が。そうですね。

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2009年8月 4日 (火)

アマルフィ 女神の報酬

 あらすじ「日本人少女の失踪から始まったイタリア大規模連鎖テロ!犯人グループの本当の狙いとは……真実は、世界で一番美しい町にあった――」

 この掴みだけ読むと面白そうですよね?(注:ファンの方はお戻りください)

 

 いやはや、ひどい映画でしたよ。

 ◆冒頭から編集が乱暴。画面にはコロッセオが雄々しく映り、BGMでオーケストラが流れているところで、突然音も映像も「ブチッ」と切れて画面が真っ暗に!そして出てくる「アマルフィ 女神の報酬」というタイトル。……アマチュア?

 ◆イタリアの街中で若い女に見とれる織田裕二。意味深なシーンですね。

 ◆若い役者さんの演技が微妙。

 ◆テログループの犯行計画がメチャクチャで実現性に乏しく、映画としてのリアリティが激減。

 ◆その割にテログループの最終目的が「え?それだったら他にいくらでも確実で有効な方法があるじゃん」というもの。そもそも、イタリアを舞台にする必要がない。

 ◆アマルフィには行くけど、何も起こらない。1泊してすぐ移動する織田たち。

 ◆噂どおり空撮がピンボケ。それどころか街中のシーンで天海祐希がハデにピンボケ。非常に衝撃を受けた。

 ◆途中で犯人グループのアジトが判明するが、なぜ判明したのか特に説明がない(その前にかかってきた脅迫電話を逆探知しているけど、それで本当にアジトがわかったなら凄い)

 ◆そこからも謎の展開が続く。特に犯人グループの行動が謎すぎる。いちおう彼らにも目的はあるのだが、そこにいたる方法(つまりテロ行為)に致命的なくらいリアリティがない。というか意味がない。

 ◆終盤でまた映像と音声のブツ切りが入る。びっくりするよ!

 ◆最後はサラ・ブライトマンの映像を使い回し。

 ◆最後まで見ても「女神の報酬」の意味がわからない。というか、この映画がやりたいことがわからない。

 フジテレビ開局50周年記念映画がこのあり様とは……。

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2009年8月 3日 (月)

観た

 土曜日にまとめて観てきました。五段階評価ですと

 

 アマルフィ 女神の報酬 ★

 

 MW -ムウ- ★

 

 精神 ★★★★


 当初は「ごくせん THE MOVIE」で締めるつもりでしたが、最初の2本が本当に辛くて、いたたまれない気持ちになったので「精神」にしました。これはこれでしんどい映画でしたけど。

 詳しいつっこみはまた追って。

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2009年7月30日 (木)

悩み

 毎月1日は映画サービスデーです。どんな映画も大抵1000円で観られます。8月1日は土曜日ですし、これは朝から映画を観まくるしかない!と。

 いま検討している映画は、五十音順ですと

 アマルフィ 女神の報酬
 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2回目)
 ごくせん THE MOVIE
 サマーウォーズ(封切り日!)
 精神
 セントアンナの奇跡
 ディア・ドクター
 MW -ムウ-

 で、これを見たい順に並べ替えると

 サマーウォーズ(封切り日!)
 ディア・ドクター
 精神
 セントアンナの奇跡
 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2回目)


 MW -ムウ-








 アマルフィ 女神の報酬




















 ごくせん THE MOVIE

 このような感じですね。
 まぁ、観るとしても1日3本が関の山でしょう。そうなると

 サマーウォーズ(封切り日!)
 ディア・ドクター
 精神

 か?しかし、これでは自分を甘やかしすぎでしょう。かといって、

 MW -ムウ-
 アマルフィ 女神の報酬
 ごくせん THE MOVIE

 これですと、僕がZガンダム最終回のカミーユ・ビダン(端的に言うと、廃人)になってしまう可能性があります。
 そのうえ、観る作品とタイム・スケジュールの組み立ても考えねばなりません。僕はいま凄く悩んでいます。ええ、どうでもいいことで本当にすみません。

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2009年7月13日 (月)

夢 が 俺 た ち を 強 く し て く れ た

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 夢にときめけ!明日にきらめけ!ということで観てきましたよ「RO○KIES -卒業-」!

 (注:ここから先は「RO○KIES」ファンの方はお戻りください。長文ですし)

 まず開始直後からびっくりしたことに、登場メンバーの紹介や野球部の置かれた状況の説明がありません(何やら乱闘シーンの回想があったけど)。
 この時点で直感したのは「なるほど、これはドラマや原作のコミックを知っている人だけに向けて作られた映画だ。つまり、そのどちらもチェックしていない私には楽しむ資格がない」と。

 残念ながらこの直感は的中しました。というか、映画……なのこれ?


 ストーリーのおおまかな軸としては「新入生が入部→先輩と新入生と打ち解ける→某メンバーが負傷→それでも勝ち進むチーム→あと1勝で甲子園!」という感じです。十分盛り上がりそうなストーリーじゃないですか。
 しかし盛り上がらない。いや、劇中の人物が絶叫と説教(夢について)を繰り返すことで、劇場内は盛り上がっていたのですが、私には極めて強い置いてけぼり感が……。

 つまり、単に勢いだけで話が進んでいて、登場人物がどんな想いで野球に取り組んでいるのかが全然掴めない。まあこれは原作をチェックすれば解消されるのだと思いたいですが。

 じゃあ、原作と関係なしに楽しめそうな部分となると……野球パート!ということになりますが、これまた微妙。甲子園出場を賭けた決勝戦まではダイジェスト的に、サクサク進んでいきます。時間の都合もあるでしょうし、それはそれでいいんです。たとえまともな野球シーンが全然なかったり、練習シーンが「何度もダイビングキャッチして泥まみれに」「雨の中、叫びながらタイヤを引っ張って走る」などの安易な感じでも。なぜそこまで一生懸命練習するの?という理由を知りたかったんですが「そこはドラマで説明してるから、劇場版で描く必要はないぜ!」という製作側の決断力に驚愕。

 そして決勝戦。相手校のエースが非常に優れたピッチャーで、ニコガクの皆さんは凡退。そして相手校の攻撃となり、ニコガクのピッチャー安仁屋が登板。なんと最初のバッターは全球見逃しの三振! それを見た登場人物のひとりが「あれがあいつらの手だ……最初にああやって敵の球筋や配球を分析しているんだ」

 なるほど。普通強豪校が大一番を迎えるような場合、試合前に相手校を偵察していると思いますが(「キャプテン」より抜粋)。大事な試合でわざわざそんなことやるかな?

 しかも先頭バッターの見逃しだけで分析結果が出た!

              ↓

 分析結果「いつも初球はストレートのド真ん中だ」

              ↓

         安仁屋くんメッタ打ち

              ↓

 ニコガクのセカンドが安仁屋くんに「真ん中ばっかり投げて芸がないですね」

              ↓

       安仁屋「ハッ!」と気づく

              ↓

     相手打線をがっちり押さえる

 …………え?

 

 その後も試合は相手校のリードで進みます。敵エースのフォークにまったく手が出ないニコガクナイン。
 ピンチになると、メンバーの誰かがクサいセリフを言う→ピンチを脱する、という繰返しを何十回も見せられるような感じで試合は進んでいきます。

 終盤になると、敵エースのフォークをガンガン打ちだすニコガクナイン。 大量のビハインドから、一気に敵を追い詰めます。
 ただ、この終盤の追い上げも、「相手の球威が落ちてきた」「あのフォークはこう攻略できる」などの野球的な考察はもちろんありません。「夢に向かってがんばれ!夢にときめけ!」とメンバー絶叫→大量ヒット→メンバー絶叫、という精神論と勢いオンリーです。実際、高校野球は信じられないような劇的な展開があったりするので、「こんなの安直だよ」とは言いませんが、信じられないようなヒットや、異常な打法で出塁していきます。

 
 劇中で解説者が「野球をなめている奴が勝てるほど、高校野球は甘くない」と独りごちる部分がありますが、いや、この映画作った人たちがいちばん野球をなめ(略)
 (しかもこの解説者、ラストは泣きながら「高校野球って、いいよな」って言ってます。キャラがブレてない?)

 あと、試合中に何回も何回もタイムをして、その都度メンバーがクサいセリフを言います。けがをしたメンバーに、仲間が「お前だけが痛いんじゃねえ。その傷は、ニコガクの傷だ」とか。

 書いていて気付いたんですけど、結局野球そのものが目的じゃなくて、この劇場版においては手段なわけですね。本当の目的は、メンバーのクサいセリフと絶叫→メンバー感涙というループを見せることという。その雰囲気に酔うためですね。そう考えると、あの試合展開や長尺のタイムなどがすべて腑に落ちます。

 映画的なリアリティとかおもしろさ、バランスや完成度、間口の広さや奥の深さなどは二の次。そう考えると、あの広告量にも合点がいきます。

 ラストでは野球部監督の川藤先生に向けて、ニコガクナインが一人ずつ挨拶をします。
 ニコガクメンバーの憎まれ口と感謝の言葉→先生のバストショット(この一連のカット割りを、一人が喋る間に何度も繰り返す)をメンバー10人全部やります……って映画としてはそんなシーンありえないと思うんですが。でも、この劇場版はそれをやれる唯一の作品です。


 ……あ、いいところも書いておきましょうか。時すでに遅し?
 えーと、平塚役の桐谷健太さんの演技はとても楽しませてくれました。素晴らしい役者さんです。
 それと、決勝戦ではしょっちゅうニコガクベンチの様子が映りますが、画面の上部分には常に女子高生の下半身が映っているサービス精神とか。

 あとはこれですね、僕が最近観に行ったどんな映画と比べても、可愛い女の子がたくさん観に来ていた!! これにつきますね。おもしろいけど通好みな映画なんかより、こういう作品を観ろ!と。
 それはそれできついですが。

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2009年6月 3日 (水)

心から推薦しまくりたい映画

 最近観た映画が、どれも漏らしそうなくらいおもしろかった。

「グラン・トリノ」

 

 別に私が褒めたところで……というわけで触れませんでしたが、ライムスター宇多丸氏(祝ギャラクシー賞!)のアツい評論(http://podcast.tbsradio.jp/utamaru/files/20090516_hustler.mp3)を聞いて居ても立ってもいられず、「何か書かないと!」と思った次第です。
 素晴らしい作品です。本気で震えました。ひさびさに映画を観る喜びを満喫したというか、「ああ、映画ってこういうものだよな!」と確信。この作品を「映画館で」観ないなんて、もったいないと思います(公開終了間際だが)。GMが破綻したことを念頭に置いて観れば、またグッとくるでしょう。鑑賞後は宇多丸氏のポッドキャストもぜひ!

 しかし、アカデミー賞がこれじゃなくて「スラムドッグ$ミリオネア」とは。あれもつまらなくはなかったけど……それほど……。

「チェイサー」


 

 韓国で起こった連続殺人事件を映画化。殺人鬼と、その殺しの証拠を追うデリヘル経営者(元刑事。桑田佳祐似)の物語です。冒頭から一気に引きずり込まれて、身の毛もよだつ展開の連続。演技も異常なまでにハイレベルだ(と思った)し、とんでもない映画ですわ。暴力描写が割と凄惨ですが(R指定に納得)、それにしてもおもしろい!韓国映画はあまり観る機会がなかったのですが、こんな凄い作品がゴロゴロあるんでしょうか?

「チョコレート・ファイター」

 タイの美少女格闘アクション!と聞いてスルーしかけましたが、実際に観てみたらショックを受けるくらいおもしろかった。「ノースタント・ノーCG・ノーワイヤー」という触れ込みの、モノホンのアクション映画です。アクションの修行に4年を掛けたというヒロインのワザを観られるだけでも映画的に物凄く価値があります。ところどころ「え、これでいいの?」と思うような部分もありましたが、それでも絶対的におもしろいです。阿部寛の全裸も見られますよ!(特に全裸になる必然性は感じませんでしたが)

 

 この3作に共通しているのは、「人間が生身の人間を演じる」ことの凄味というか……大して新しい試みがあるわけではなく、いずれもシンプルな作品です。でも、出演者と、映画が好きでたまらない製作者が渾身の力で作り上げた作品です。演技にも演出にも構成にも、隅々まで血と神経が行き通ったかのような、魂のこもった作品です。これが映画の良いところだと再認識できました。

 

 ド派手なCGで全編を塗り固めただけのこけおどしみたいな映画や、ありふれた難病/動物もの、TVドラマの安直な劇場版、俳優がバラエティ番組やワイドショーに露出して話題作りして、映画の良し悪しもわからん女子供を騙くらかして大ヒット!みたいな代物を作っている(仕掛けている)人は恥ずかしくないのかと思いますよホント。

 ……とはいえ、その類の映画は見ないので、私が貶せるものでもありませんが(そういう映画で稼ぐことも会社にとって必要なのでしょうし)。ただ、「HACHI」はいろんな意味で観に行きたいです。

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2009年3月17日 (火)

EVOLUTION その2

 前回あれだけ書いたのに、まだまだ書き足りません。こんな作品初めてだよ!

 取り急ぎ「DRAGONBALL EVOLUTION」を象徴する鳥山明先生のコメントを転載させていただきます。

        脚本やキャラクター造りは原作者としては
   「え?」って感じはありますが、監督さんや俳優の皆さん、
      スタッフなど、現場は超優秀な人達ばかりです。
    ボクやファンの皆さんは別次元の『新ドラゴンボール』
        として鑑賞するのが正解かもしれません。
もしかしたら現場のパワーで大傑作になっているかもしれませんよ!
             おおいに期待しています!!

               原作者  鳥山 明

 原作者が「え?」って。すべてが行間に詰まっています。まぁ、確かに別次元ではあるけど……。

 それと、有名なネタ系映画サイトの破壊屋さん。的確な指摘に憧れます。
 http://hakaiya.web.infoseek.co.jp/html/2009/20090316_1.html

 

 または、DBEもこういうノリの馬鹿映画だったら良かったのかも。(※悟空も出ます)

 

 以上、とっ散らかっていますが関連情報としてご紹介でした。

 DBEが駄作だというのは一目瞭然ですが、そこで我々に問われるものは論評ではなく、「その駄作からどれだけのおもしろみを見出せるか」だと思います。

 なお、DBEの後に観た「チェンジリング」が凄まじい傑作に思えました。ちゃんとした映画だったし。

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